視覚障がい者のためのVoiceOver入門講座テキスト 第2単元
第2単元 Siriを使ってメールの送受信と簡単な文字入力
姫路デジタルサポート
2025.06.4
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目次
- はじめに
- 2-1 Siriを使ってショートメッセージを送受信
- 2-2 Siriを使ってメールを送受信
- 2-3 文字入力(その1)ジェスチャーで数字を入力
- 2-4 文字入力(その2) 音声入力で文章を入力
はじめに
メールをジェスチャーによって送受信することは、入門者にとっては高いハードルです。第5単元でジェスチャーによるメールの送受信を学ぶ前に、まず、Siri でメールの送受信の方法を学習し、メールに慣れておくことが大切だと思います。
ジェスチャーによる文字の入力は、複雑で煩雑な操作なので、まず、電話のキーパットを使って数字の入力の練習をします。顔認認証(FaceID)や指紋認証(TouchID)を利用するためには、スムーズに数字入力ができることが条件となります。
音声入力で文の入力練習をしますが、一般的な文章であれば容易に入力できることを実感してください。同時に、どのような場合に音声入力が困難であるかも学習しましょう。
2-1 Siriを使ってショートメッセージを送受信
ここでは、ショートメッセージとEメールの送受信を行う前に、Eメールとショートメッセージの違いについて簡単に説明します。
ショートメッセージは、相手の電話番号にメッセージを送るのに対して、Eメールは、メールアドレスにメッセージを送ります。
ショートメッセージは、メッセージアプリを用いて送受信を行いますが、メッセージの文字数が約600文字までなどの制限があります。電話番号がわかれば、メッセージを送信できるので、手軽に使用できます。一方、Eメールは、メールアプリを用いて、メッセージのほか写真や文書などファイルも送受信ができます。
(1) メッセージを送信する
Siriにリクエストする場合、途切れずにリクエストするためには対話形式で行うのがコツです。
次の手順でメッセージを送ります。
- ・ホームボタンまたはサイドボタンの長押しをして、Siriを起動します。
- ・“メッセージを送って”とリクエストします。
- ・「誰に送信しますか?」とSiriがたずねてきます。
- ・“○○さん”と応えます。なお、○○さんは、連絡先に登録されていないといけません。ここでは、「自分の名前」または「自分」と応えます。
- ・「どんなメッセージを送信しますか?」とSiriがたずねてきます。
- ・例えば、“メッセージの送受信の練習をしています”と応えます。
- ・送信するメッセージを読み上げ、「送信しますか」とたずねてきます。
- ・今回は練習なので、「いいえ」と応えます。送信がキャンセルされます。
- ・修正したい場合は、「変更して」と応えると、メッセージを最初から入力することができます。また、追加した場合は「追加して」と応えます。
使えるリクエストコマンドは次のとおりです。
- ・コマンド:「変更」「追加」「はい」「いいえ」
Siriから「何々しますか?」との問いかけと同時に本体が振動することも確認しましょう。
■Lineアプリでのメッセージの送信
Lineでメッセージを送信する場合は、「Lineでメッセージを送信して」とリクエストします。「Lineの友だちリストにアクセスしてよろしいか」とたずねてきますので、「はい」と応えます。
このように、リクエストに「Lineで」という言葉を入れるか、入れないかによって、メッセージアプリとLineアプリを使い分けすることができます。
もし、メッセージアプリで送信しょうとしても、Lineアプリで送信してしまう場合は、次の設定でLineとの連携をオフにします。
「設定」> 「アプリ」> 「Line」 > 「Siriへのリクエストと一緒に使用」ボタン:ダブルタップしてオフにします。
練習)連絡先に登録している相手に次の4つの文を送信しましょう。
・「こんにちは」「お元気ですか」「私は元気です」「○○より」
*「追加して」リクエストを使って、全文を入力できましたか。
(2) メッセージを確認する
うまく送信できたか確認してみましょう。
- ・Siriに、「メッセージを確認」とリクエストします。
- ・未読の最新のものから順に、読み上げられます。
- ・1件ごとに「返信しますか」とたずねてきますので、「はい」または「いいえ」で応えます。
- ・「はい」と応えた場合、返信の内容を伝えます。
- ・読み上げを中止したい時は、「中止」と応えるのも同じです。
既読のメッセージを読みたい場合は、「既読のメッセージを読んで」とリクセストすると、最新のメッセージから順に読んでくれます。
また、特定の相手のメッセージを読んでもらうこともできます。「○○さんからのメッセージを読んで」とリクエストします。
練習)特定の相手のメッセージを読み上げましょう。
*うまく読み上げることができましたか。
補足)Siriが読み上げている途中でのリクエスト
メッセージが長い場合、Siriの読み上げに時間がかかります。読み上げ中にユーザーがリクエストをすることもできます。ホームボタン(ホームボタンのない機種では、サイドボタン)を長押しすることで、本体の振動があり、リクエストの受け付け状態となります。そこで、「次」とリクエストすると、次のメッセージを読み上げます。
また、Siriの問いかけに、ユーザーの応答が遅れた場合、Siriは受け付けを終了してしまいます。その場合も、ホームボタン(ホームボタンのない機種では、サイドボタン)の長押しで、Siriの再開ができます。
2-2 Siriを使ってメールを送受信
メールの使い方は、ショートメッセージの使い方と基本的には同じです。ただ、メール内容が「件名」と「本文」から構成されている点が異なります。
(1) メールを送信する
メールを送信する場合も、Siriに対話形式でリクエストを行うとやりやすいです。手順は次のとおりです。
- ・Siriを起動します。
- ・「メールして」とリクエストします。
- ・「どなたに送信しますか?」とたずねてきます。
- ・「○○さん」と応えます。
- ・「件名は何にしますか?」とたずねてきます。
- ・件名を応えます。
- ・「本文は何にしますか?」
- ・本文を応えます。
- ・「送信してよろしいですか?」とたずねてきます。
- ・「はい」「いいえ」で応えます。
本文が長文の場合、1文ずつ入力することがコツです。1文を入力した後、「送信してよろしいですか?」の質問に対して、「本文に追加」と応えます。
「本文に追加」は、何回も使えるので、少々の長文も入力できます。しかし、文の順番を変えることはできません。
送信相手が2つ以上のメールアドレスを登録している場合、「どちらのメールアドレスに送信しますか?」との質問があるので、「自宅」「勤務先」などと応えます。うまくいかないことも多々あります。
練習)メールで「自分」に次のメッセージを送信しましょう。
・メッセージ内容:「本日はスマホ入門講座を受講しています」
*うまくいったら、Siriが最後に「送信します」と言います。
(2) メールを確認する
次の手順でメールの件名や本文を読み上げます。
- ・「メールを読んで」とリクエストします。
- ・未読のメールを新しいものから順に、件名のみ読み上げてくれます。
- ・1件の件名を読み上げた後、振動があります。
- ・振動の後、次のメールの件名を読み上げる場合は、「次」とリクエストします。
- 本文を読み上げる場合は、「読んで」とリクエストします。何もしないでおくと、次の件名に移ります。
- ・本文を読み上げた後、「返信しますか?」とたずねてきます。「返信」と応えると、返信の内容を入力するよう促されます。
Siriが話している途中で、ホームボタンを長押しして「次」、とか「中止」、等の支持をすることも可能です
練習)自分に送られたメールの本文を読んだ後、次の内容を返信します。
・返信内容:「入門講座はよく理解できましたか」
*うまくできましたか。
2-3 文字入力(その1)ジェスチャーで数字を入力
iPhoneの操作中にパスコードの入力を求められることがあります。数字の入力には慣れておく必要があります。
ここでは、電話アプリの数字キーパットを使用して、数字の入力の練習を行います。数字キーに移動してダブルタップを行うことでその数字が入力されます。また、ダブルタップの代わりに、スプリットタップという方法もあります。

次の手順でキーパットの数字キーなどを確認します。
- ・電話アプリを起動します。
- ・画面下部のタブバーに移動します。
- 画面下部中央(またはホームボタン)からゆっくりと人差し指をスライドさせます。
- ・ダブバーで右、左スワイプをして、「キーパッド」タブに移動し、ダブルタップします。キーパッドが表示されます。
- ・何か数字を読み上げるまで、画面中央部をタップします。
- ・右、左スワイプを行い、どのように数字が並んでいるかを確認します。また、発信ボタンがあることも確認します。数字が入力されると削除キーが発信ボタンの次に表示されます。
数字の入力は次の手順で行います。
- ・右、左スワイプで目的の数字キーまで移動します。
- ・ダブルタップします。その後、入力された数字が読み返されます。
- ・これを繰り返します。
スプリットタップは次の方法で入力します。スプリットタップはダブルタップと同じ機能を持っています。
- ・両手の人差し指を使用します。
- ・例えば、右手の人差し指をスライドさせて、目的の数字に移動します。
- ・その指は押さえたままにして、左手の人差し指でタップします。これで数字が入力されます。
なお、スプリットタップでは、押さえた指がずれると、別の数字が入力されます。数字が読み上げられるとすぐにタップするなどの工夫が必要です。
練習)0120-929-818(UQの自動応答電話)を入力してください。
・サポーターに数字を読んでもらい、入力しましょう。
*うまくできましたか。
2-4 文字入力(その2) 音声入力で文章を入力

(1) 音声入力のための設定
音声入力では、英語と日本語を利用できますが、日本語を発話しているのに、英語のテキストになることがあります。英語のキーボードが表示されている場合は、音声入力の言語は英語になります。
そこで、どのような状態でも日本語のテキストにするため、音声入力の言語を日本語だけにします。手順は次のとおりです。
- ・設定アプリ > 「一般」>「キーボード」に進みます。
- ・右スワイプで進み、「音声入力を有効にする」切り替えボタンがオンになっていることを確認します。
- ・「音声入力言語」ボタンをダブルタップします。
- ・日本語が選択中になっていることを確認します。
- ・英語(日本語)が選択中になっている場合は、ダブルタップをして選択を外します。
(2) 音声入力をする
■テキストフィールドの準備

文字や数字を入力できる場所をテキストフィールドと言います。テキストフィールドで1本指ダブルタップすることで、「編集中」となり、入力が可能になります。同時に、スクリーンキーボードが画面下半分に表示されます。
ここでは、メールアプリの「新規メッセージ」画面の本文テキストフィールドで、音声に入力の練習を行います。
- ・メールアプリを起動します。
- ・画面右下のツールバーの「新規作成」ボタンをダブルタップします。
- ・宛先コロン、テキストフィールド、編集中、先頭に挿入ポイントと読み上げがあります。
- ・右スワイプを4回行います。「メッセージ本文、iPhoneから送信、テキストフィールド」との読み上げがあります。
- ・1本指ダブルタップを行い、編集中にします。
- ・「先頭に挿入ポイント」との読み上げがあります。
- これで入力が可能になりました。
■音声で入力を開始、終了
次の手順で音声入力を行います。
- ・音声入力を開始するためには、2本指ダブルタップをします。
- ・「ポン」という音を確認します。これが話し始めるタイミングです。発話した内容がテキストで入力されます。
- ・発話が終わると、すぐに2本指ダブルタップで音声入力を終了させます。
- ・同時に、「ポン」という音の後、「挿入されたXXXXX」と入力された文章が読み返されます。
- ・この読み返しがない場合は、音声入力が継続していますので、再度2本指ダブルタップを行い、読み返しを確認します。
- ・再度、音声入力を行うと、前の文に追加されます。
次に入力した内容を確認します。
- ・右スワイプして、左スワイプして本文テキストフイールドに戻ると、本文全体を読み上げます。
なお、行単位、単語単位、文字単位で読み上げ、編集することもできますが、「第5単元 5-4簡単な文章の編集」で取り扱います。
一般的な文を音声で入力する場合、漢字の間違いもなくほぼ正確なテキストに変換されます。一方、人の名前などは漢字が異なることも少なくありません。
ひらがなで入力したい場合は、「あ」「い」「う」と1文字ずつ区切って発話すると入力できます。
■句読点や記号の呼び方
「。マル」や「、テン」は自動で挿入されますが、音声入力することもできます。次に、音声入力のための句読点や記号の呼び方を記します。
□ 句読点
- ・呼び方: 句読点
- ・マル: 「。」
- ・テン: 「、」
- ・カイギョウ: 改行される。
- ・タブキー: スペースが挿入される。
□ 記号
- ・カッコ、カッコトジ: 「( )」
- ・かぎかっこ、かぎかっことじ: 「 」
- ・ころん: 「:」
- ・せみころん : 「;」
- ・ビックリマーク: 「!」
- ・クエスチョンマーク: 「?」
- ・ナカグロ: 「・」
- ・スラッシュ: 「/」
- ・アットマーク: 「@」
- ・ドット: 「.」
- ・エンキゴウ: 「¥」
- ・ニコニコマーク: 「?」
- ・ウインク: 「;ー)」
- ・ハッシュタグ: 「#」
練習) 次の文を音声入力します。
・カギカッコ 4番 テン サード テン 長嶋 カギカッコトジ とアナウンスが流れた マル カイギョウ
懐かしい テン 昭和の時代の野球中継でした マル
*改行や句読点がうまく入力できましたか。
補足1)連絡先に登録している名前
連絡先に登録している名前を音声入力すると、間違いなく、連絡先に登録された漢字に変換されます。それは、音声入力では第1に連絡先を参照して漢字を決定しているようです。
連絡先には、人の名前だけでなく、一般的な単語や動詞も登録できますので、よく使う単語を登録するのもよいかと思います。
補足2)漢字変換の間違いを少なくする工夫
音声入力は決まった漢字変換しか行いません。間違った漢字を音声入力で修正することはできませんので、入力時に工夫をします。
例えば、「武田 (ブシのタケダ)」を入力の場合、「タケダヤクヒン」と音声入力し、その後、「薬品」を削除します。一方、「竹田(タケのタケダ)」を入力する場合、「タケダジョウ」と音声入力し、その後、「城」を削除します。