デジタル活用支援 令和3年度事業実施計画等 2021年5月18日 総務省 現状認識と今後の方針 1.現状認識 行政手続のオンライン化など、社会全体のデジタル化が進められる中、デジタル技術を使いこなせる方々と、そうではな い方々の「デジタル格差」の解消が重要な政策課題となっている。 例えば、内閣府の世論調査によれば、70歳以上の高齢者の方の約6割がスマートフォンなどの情報通信機器を利用 していないと回答しており、社会のデジタル化が急速に進む中で、各地域の実情を踏まえつつ、助けを必要とする人に、 十分な支援が行き渡るようにすることが急務である。 このような政策課題に対応し、誰もがデジタル化の恩恵を享受できる社会を実現することはきわめて重要であり、昨年 12月に閣議決定された「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」においても、「誰ひとり取り残さない、人に優 しいデジタル化」が掲げられている。 2.今後の方針 総務省では、デジタル活用に不安のある高齢者等の解消に向けて、本年6月から、デジタル活用支援推進事業(補 助事業)として、全国1,800箇所程度において、主に高齢者のデジタル活用を支援する「講習会」を開始する。 他方、「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」の基本方針を踏まえ、各地域の実情やニーズを適時適切に把 握しつつ、助けを必要とする方に支援が行きわたるよう、支援体制の充実を図ることが必要である。 そのため、総務省の事業については、令和4年度以降、高齢者がより身近な場所で参加できるよう取組の拡充を図る。 携帯ショップがない市町村や携帯ショップがあってもスペースが狭くて講習会ができない市町村では、近隣の市区町村の 携帯ショップ等から講師派遣を行うことによって公民館等で講習会等を行う手法を検討する。 また、「誰一人取り残さない」は携帯ショップを中心とした総務省の事業だけで達成できるものではなく、地域のサポート 体制を確立し、様々な地域の担い手による幅広い取組が求められる。特に高齢者は、学生やサラリーマンと異なり、特 定の企業・団体に属していないことが多く、重層的な取組が求められる。 総務省の事業に加えて、他府省・地方公共団体・教育機関・高齢者団体・商工団体・農業団体・ケーブルテレビ・電 器店・町内会・自治会・NPO法人等と連携し、国民運動として、家族を含めた若い世代が高齢者に教えることや 様々な地域の担い手による幅広い取組を積極的に促していく。このようなデジタル活用支援に関する5カ年の全体構 想を策定して取組を加速する。 デジタル活用支援推進事業令和3年度事業実施計画 2 項目 類型A 携帯キャリアが携帯ショップで実施 類型B 地元ICT企業やシルバー人材センター等が、 地方公共団体と連携して公民館等で実施 合計 KPI アウトプット指標 講座の内容 既存のスマホ教室におけるスマートフォンの基本的な利用 方法の講座に加えて、国庫補助事業として、新たに スマートフォンによる行政手続き等に関する講座を実施 国庫補助によるデジタル活用支援事業として、スマー トフォンの基本的な利用方法やスマートフォンによる行 政手続等に関する講座を実施 箇所数 約1,700箇所 •約700市区町村 •1741市区町村中約40%、人口ベースで86% •各社の提案をベースに偏在がないよう調整 約100箇所 •約100市区町村 約1,800箇所 講習会の実施回数 約8.5万回 •1箇所あたり:50回 •計:50回×1,700=8.5万回 約2500回 •1箇所あたり:25回 •計:25回×100=2500回 約9万回 参加者数(のべ) 約34万人 •1回あたり:4人※1 •計:4人×8.5万回=34万人 約5万人 •1回あたり:20人 •計:20人×2500回=5万人 約40万人 支援員の人数 約2,550人 •1箇所あたり:1.5人 •計:1.5人×1700箇所=2550人 約500人 •1箇所あたり:5人※2 •計:5人×100箇所=500人 約3,000人 ※1コロナ下であることを踏まえた参加者見込み ※2講師1名+サポート4名 令和3年度は、携帯ショップ等を中心に全国約1,800箇所での実施を計画 (執行団体を通じて事業実施主体に補助) (注)令和3年度の箇所数については、当初1,000箇所程度を想定していたが、1箇所あたりの実施回数を減らして箇所数を増やすこと により、1,800箇所程度を見込む。 令和3年度事業実施計画別紙 3 ①講習会の内容について マイナンバー関係や行政手続きだけでなく、アプリのインストールの仕方や、例えば地図アプリやキャッシュレス決済アプリの使い方など ニーズの高い内容とセットで取り扱う。また、高齢者等が詐欺等の危険な目にあわないよう、セキュリティ対策を含めスマートフォン等の 安全な利用のために必要な知識についても取り扱う。 高齢者が気軽に聞けるような場・学び合える場所として、「講習会型」だけではなく、「相談会型」の支援も行い、講習会の内容の フォローアップに努める。また、振り返り等のための動画を作成し、復習のための動画サイトのリンクの設定を行う。 体験型のプログラム(実体験が難しいものはデモ環境)が必要。まずは、参加者がスマホ決済を実際に体験できるよう、講習会等に おいて店舗提示型の統一QRコード(JPQR)を導入する。 パスワード等が分からず講習会での作業が中断してしまうことがないよう、参加者に対して、事前に必要事項をよく周知する。 令和2年度の実証事業の成果も踏まえ、障害者を対象とした講習会の展開も図る。 参加者へのアンケートを通じて、NPS評価等の手法により講習会の「質」を把握することで事業の改善に努めるとともに、オンラインに よる行政手続き等のアプリの使いづらさをフィードバックし、デジタル庁の監督下でその改善を図るというPDCAをまわす。 ②講師となる「デジタル活用支援員」について 高齢者が安心して参加できるよう、中立性の確保に留意する。講習会の後に結果として契約行為が発生することは問題ないが、講 習会のなかでの支援員側からの(特にデジタル活用支援をフックにした)営業活動は厳に慎むべき。また、そのため、高齢者が国の 事業と認知することができるロゴを使用する。 中立性を確保するための具体的な禁止行為や禁止行為を行った場合の措置について事業のガイドラインにおいて明示する。 講習会等に参加した高齢者や、大学生・高等専門学校生など若い世代が、デジタル活動支援の取組に(教える側として)積極 的に参加する仕組みを検討する。 ③周知広報について 高齢者が目を通す機会の多い「市政だより」等の自治体広報誌に講習会の日程等が掲載されるよう、自治体に協力依頼を行う。 高齢者に影響力が大きい「テレビ」を活用し、デジタル改革の意義やデジタル活用支援の取組を広報する。 高齢者の参加を促すため、不安がある層に対しては、知人同士で参加できるよう既存グループ毎にアプローチを行う。また、拒否感が ある層に対しては、同世代の方が使えるようになったことを取り上げるなど高齢者目線に立った押しつけではない広報を行う。 デジタル活用支援に関する全体構想(令和3~7年度) 4 ■総務省のデジタル活用支援推進事業 •令和4年度以降は、携帯ショップがなし沛町村(817市町村)への講師派遣を含め、毎年度約5,000 箇所で、約30万回の講習会等を開催し、令和3〜7年度の5年間で延べ1,000万人の参加を目指す。 ■国民運動としての取組 • 「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」を達成するため、総務省の事業に加えて、他府省•地方公 共団体•教育機関•,〇法人等と連携し、国民運動として、若い世代が高齢者に教えることや、高齢者が 気軽に何でも相談したり教えあうことができる場の提供といった幅広い取組を積極的に促していく。 ■周知広報について •高齢者への影響力が大きいテレビ•ラジオによる政府広報の活用 •デジタルの日(令和3年は10月10日、10月11日)を「みんなでデジタル活用を字ぶ日」と位置づけ、国 民運動として盛り上げるとともに、全国多くの場所で一斉に講習会等を開催する。 (以下、参考資料) 5 (参考3)標準教材・講師用教材の作成 8 「デジタル活用支援推進事業」において、事業実施団体が適宜アレンジして講習会等で使用して いただける標準教材を作成中 6月頃の事業開始時までに作成する標準教材は、①基本講座6テーマ、②応用講座5テーマ の計11テーマを予定 今後も、デジタル活用支援に関するニーズ等を踏まえて講座の充実を図る予定であり、これに応じ て標準教材のラインナップも充実させていく予定 <標準教材を作成中の講座一覧> ①基本講座(スマートフォンの基本的な利用) ②応用講座(スマートフォンによる行政手続等) •電源の入れ方、ボタン操作等 •電話のかけ方、カメラの使い方 •インターネットの使い方 •メールの使い方 •地図アプリの使い方 •LINEなどSNSの使い方 •マイナンバーカードの申請方法、利用方法 •マイナポータルの活用方法、カードの健康保険証利用 •マイナポイントの申込み方法 •e-Taxの利用方法 •医療機関におけるオンライン予約・診療 (参考4)ロゴマークを活用した周知広報 9 「デジタル活用支援推進事業」を表すロゴマークを5種類制作し、デジタル活用支援アドバイザリー ボードの有識者構成員等による投票の結果、以下のロゴマーク「やさしく支える支援の手」に決定 <決定したロゴマーク> <趣旨> デジタル初心者にも、やさしく教えてくれるのがデジタル活用支援員。 その手でスマホを支える様子を象徴的にデザインした。 ①ゼッケン②ワッペン③のぼり