スマホ相談・体験会テキスト:機種選びと上達のコツ
姫路デジタルサポート
(改訂)2023年8月23日
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目次
I 相談会
スマホに関すること何でも相談ください。
1 スマートフォンを購入する前に
(1) iPhoneとAndroid の違い
スマートフォンは、基本ソフトの種類によってApple社のiPhoneと、Googleやサムスンなど多くのメーカーが製造するAndroid系とに大別できます。視覚に障害のある人が使用するという観点からのそれぞれの特徴は次のとおりです。
□ iPhone
- ・視覚障がい者は、読み上げ機能のVoiceOverを使ってiPhoneを操作しますが、購入してすぐにVoiceOverを利用することができます。
- ・障がい者の多くがiPhoneを使用しています。サポートできる人も多く、Android系よりもサポートを受けやすい環境にあります。
- ・視覚支援系のアプリなどはiPhoneだけに対応している場合が少なくありません。
- ・本体が高価です。
□ Android
- ・Android系スマフォはTalkbackという読み上げアプリを利用して操作を行います。近年はTalkbackも充実し、利用者も増えているようです。
- ・TalkBackなどのセットアップには、晴眼者の助けが必要です。
- ・機種によって、使い方が異なる部分があることから、サポートを受けにくいと思われます。
- ・機種によっては安価なものもあります。
(2) 携帯電話の選び方
ガラホ・ラクラクホン・Android・iPhoneなど様々な種類がありますが、自分に合ったものを購入しましょう。
- ・電話とメールだけ以外に使わない方 ➡︎ ガラホ・ラクラクスマホ
- ・自分で勉強して使おうと意欲のある方 ➡︎ Androidスマフォ
- ・「文書の読み取り」や「歩行支援」などの機能を使いたい方 ➡︎ iPhone
(3) iPhone SE
□ 視覚障がい者のiPhoneの使い方
ロービジョンの方は画面の文字を拡大します。一方、全盲やそれに近い方は「ボイスオーバー」という読み上げ機能とジェスチャーという指の動作によって操作を行います。
iPhone初心者の方は、ホームボタンのあるSE3が便利です。熟練者にはホームボタンのないiPhone13なども使えます。
iPhone SE3の中でも、いろいろ仕様がありますが、次の仕様のもので十分使えます。
□ iPhone SE3の仕様
- ・機種:iPhone SE3 (2022年3月発売)
- ・ストレージは64GBで十分
- ・価格は約75,000円程度
- ・通信プラン:
- – 自宅にwi-fiがある場合、データ通信量は月2, 3GBで十分です。
- – 自宅にwi-fiがなくて、Zoom, Lineアプリで動画を使用したい方は、注意が必要です。
- これらを使うと、1時間に500MBのデータ量が必要となりますので、月にどのくらい使うかを考えて、通信プランを契約しましょう。
- ・ケース
- iPhoneは表も裏もツルツルで落としそうになります。また、操作をする時にケースがあった方が使いやすいです。ケースは大きく分けて、3種類ありますので、実際に手に取って確かめ、目的に合わせて購入しましょう。
- 手帳型ケース、ストラップで吊るすタイプ、側面と裏面をカバーするケースがありますが、それとは別にスクリーンを保護する強化フィルムも販売されています。
□ SE3の在庫がない場合
SE3は、他機種に比べ生産台数が少ないので、大手携帯ショップでは在庫がないことも少なくありません。そのような場合、特定の通信会社に拘りがないのであれば、他の通信会社の携帯ショップやアップルストアに問い合わせをすることをお勧めします。
- ・姫路のアップルストア シースマート(アップル専門店)ピオレ2階
- 079-223-2610
また、大手家電量販店では月に1回キャンペーンを行なっており、SE3がキャンペーン対象品になっている場合が多いです。SE3はキャンペーン用として保管されているようです。キャンペーンは、1円や15,000円で販売されていますが、契約内容をよく聞いてから購入してください。思ったほど得ではないようです。
(4) 携帯ショップに依頼すること
- ・電話番号、メールアドレスなどの登録データを新しいアイホンにコピーしてもらう。
- ・Apple IDの設定をしてもらう。
- ・メールアプリにApple IDで使用したメールアドレスを登録してもらう。
- ・Apple IDのパスワードやメールのパスワードをメモに書いてもらい、大切に保管する。
- ・パスコードは設定してもらわない。
- ・ボイスオーバーの設定
- – ホームボタンの「3回早押し」で、ボイスオーバーのオン・オフができるようにセットしてもらう。
- 「設定」>「アクセシビリティ」>「ショートカット」でVoiceOverを選択
- – 晴眼者に操作をしてもらう時は、ボイスオーバーをオフにする。
- ・Siriの使い方を教えてもらう
- – 「ヘイ、シリ」の登録をしてもらう。
- – シリを2種類の起動方法を教えてもらう。
- 「ヘイ、シリ」と「ホームボタンの長押し」
- -シリの使い方を教えてもらう。
- 電話をする、お天気をたずねるなど
2 iPhoneを使うに当たって
(1) アイホンにできること
アイホンにできて、パソコンにできないことはたくさんあります。
□暮らしの中で利用
- ・時計、天気、カレンダー、Zoom、Line、音楽、ラジオなど
□コミュニケーション
- ・メール、Zoom, LineやYouTubeなどSNS
□視覚支援
- ・印刷物や冊子を読み上げる。シーンを知る。
- ・郵便の差出人を読み上げる。
- ・衣服の色を知る。
- ・明るさチェック
- ・遠隔のボランティアに、見てもらう、探してもらう、読んでもらう。
□歩行支援
- ・周囲の店舗、施設を知らせてくれる。
- ・目的地までの方位と距離を知らせてくれる。
- ・ルートの案内をしてくれる。
- ・障害物を知らせてくれる。
- ・信号の色を教えてくれる。
□ヘルスケア支援
- ・ワクチン接種証明
- ・体重計、血圧計、体温計に接続して読んでもらう
- ・歩数計として使用
- ・Apple Watchと併せて、歩数や心拍数を測る。
(2) アイホンの操作で難しいこと
アイホンでできることは多いですが、難しいこともあります。
- ・ボイスオーバーを使ってキーボードからの文字入力は、煩雑で難しく、時間もかかります。
この文字入力の負担を軽減するため、多くの人が「音声入力」や「外部キーボード」を使っています。
(3) アイホン上達のコツ
①「アイホンがくらしを変える」ことを知る
- ・体験会で、「活字文書の読み上げ」や「歩行支援」などを体験することで、アイホン学習の目標ができ、学習への強い動機づけや励みになる。
②アイホンを使いこなせるという自信を持つ
- ・多くの人が、ツルツルのアイホン画面でどのように操作するか、また、うまくできないという不安を持っている。そこで、体験会に参加してそのような不安を払拭することで、自信を持ってスマホ教室に参加できる。
- ・自分でできないことは、身近な人に助けてもらう。助けてもらえる人を見つけることも大切。
- ・全てのことができなくても気にしない。アイホンの操作に行き詰まり、落ち込んだ時は、メンタルサポートで応援する。
③アイホンとガラケイの2台持ちを避ける
- ・2台持ちはしないことが、上達の早道。これは、これからはアイホンを使うぞという強い覚悟ができると同時に、日常の練習時間が増える。
- ・スマホ教室入門編を受講することで、電話をかける、受ける、メールの送受信などの基本操作を習得できるので、以前使っていたガラケーは不要。
④教えてくれる人や仲間が近くにいる
- ・地域で開催されるスマホ教室でアイホンの基本操作や応用操作を習得できる。
- ・その後も、毎月個別サポート、講習会、自主トレなどアイホンの使い方の情報を得たり、学習する機会がある。
- ・仲間と一緒に学習したり、情報交換したりすることは楽しく、役に立つ。
- ・メーリングリストやオンライン会議、YouTube、ClubHouseなど、在宅で情報交換できる場も増えている。
■ 体験会(デモ)
(1) ジェスチャーの練習
実際に次のジェスチャーをやってもらいます。
- ・1本指 タップ(項目読み上げ)、ダブルタップ(実行、決定)
- 右スワイプ・左スワイプ(項目を戻す、次に進める)
- ・2本指 ダブルタップ(電話を受ける、音声入力をする)
(2) 電話をかける、取る
実際に操作をしてもらいます。
- ・かける:Siriで電話をかける
- ・受ける:2本指ダブルタップ
(3) Siri
操作方法:ホームボタンの長押し 「ポン」 -> “リクエスト” -> ホームボタンを離します。実際に参加に操作をしてもらいます。
- ・アプリを起動する。
- ・タイマーをセットする。削除する。
- ・プロ野球の結果を教えて。
- ・姫路城の開館時間を教えて。
- ・今日の最高気温は。
(5) Seeing AI, Sullivan+
サポーターが手を添えて、参加者にSiriショートカットで操作をしてもらいます。
- ・Seeing AI:A4の文書を読み上げる。(”ドキュメントを認識する”)
- ・Sullivan+:手書き文字を読みあげる。(AIモードでシャッターを切る)
- ・SeeingAI:衣服の色を読み上げる。(”色を認識する”)
- ・SeeingAI:紙幣を読み上げる。(”通貨を認識する”)
(6) Be My Eyes
サポーターが実演を行います。
- ・例えば、電子レンジ、洗濯機、ルームランナーのボタンの名前を知りたいとき、iPhoneのカメラをとおして、遠隔のボランティアに見てもらう。
- ・初めての店舗に行く場合に、入り口をみてもらう。
(7) 歩行支援アプリ
- ・アイナビ、OKOを口頭で説明する。
- アイナビ:道案内モード、お散歩モードがあり、障害物(人、車、自転車、横断歩道、白線など)や信号の色を教えてくれる。毎日利用している人もいる。
- OKO(オーコ):信号の色を教えてくれる。信号の色専用のアプリ。
- ・VoiceVista
- アプリを起動して、「現在地はどこ」「周囲に何がある」ボタンを押す。
参考 視覚支援アプリ、歩行補助アプリ、エンターテイメントアプリのリンク
(1) 視覚支援アプリ
- ・活字文字や手書き文字をテキストに変換するOCRアプリ
- Seeing AI: https://apple.co/41OTFdX
- Sullivan plus:手書きの文字も読み上げ https://apple.co/3CD3AKs
- Envision AI:https://apple.co/3qMqE2f
- ・ボランティアに見てもらうアプリ
- Be My Eye:https://apple.co/3AmVCCJ
- ・特定の音声コードを読み取るアプリ
- Uni Voice Blind:役所からの文書、冊子に音声コードが貼り付けてあることも。
- https://apple.co/41xHaUn
- ・物をカメラで識別するアプリ
- 「これなにメモ」アプリ:https://apple.co/3JpZbub
(2) 歩行支援アプリ
- ・目的地の方位・距離、現在地を知らせてくれるアプリ
- - BlindSquare 有料アプリ https://apple.co/40vt5Wu
- - SoundScape 新規インストールは不可。
- ・経路を提示するアプリ
- - アイナビ 障害物・信号も検知する最新アプリ https://apple.co/41xQ5oq
- - マップ、Google Maps
- - ナビレク https://apple.co/3XR0tWH
- ・タグやマーカーを読み取り、周囲を案内するアプリ
- 道路、施設にタグの敷設など大規模の環境整備が必要
- - NaviLens https://apple.co/3HO0PGY
- - Walk&Mobile https://apple.co/3HVdoAD
(3) エンターテイメント
- ・いつでもラジオ放送が聴ける:
- - 楽らじ2 https://apple.co/40yZ9Zg
- - NHKラジオ https://apple.co/41Ve7Kx
- ・映画の音声ガイド:
- - Hello!Movie https://apple.co/43YcY6s
- - UDcast https://apple.co/43SuMzX