視覚障がい者のためのVoiceOver入門講座テキスト 第1単元

第1単元 VoiceOver, Siriの基礎と電話のかけ方

姫路デジタルサポート
2025.05.21
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目次

1-1 iPhoneの外観・ボタンの確認

 iPhoneの側面や表面にはボタンがいくつか配置されています。ここでは、ボタンやカメラの位置とその機能について学習します。

(1)ボタン・スイッチの位置と機能

 ■ホームボタン

ホームボタンのある機種とホームボタンのない機種がありますが、ボタンの機能が少し異なります。まず、ホームボタンがあるタイプから説明します。

iPhoneを縦にして、画面を手前にして持ってください。画面の下端に大きな丸いボタンを「ホームボタン」と言います。iPhoneを数分間操作しないでいると、自動的に画面のロックがかかりますが、このホームボタンを押して、ロックを解除することができます。このボタンは、指紋認証のセンサーを兼ねています。

ホームボタンがない機種では、ホームボタンの機能をジェスチャーやサイドボタンで実行します。ホームボタンのない機種でもある機種と同じようにVoiceOverを快適に使用できます。

ホームボタンのある機種の外観とボタンの配置を示した図
図 ホームボタンのある機種の外観

 

① 前面側カメラ

② サイドボタン

③ SIMトレイ

④ ホームボタン
 /Touch ID

⑤ Lightningコネクタ

⑥ 音量ボタン

⑦ サイレントスイッチ

ホームボタンのない機種の外観とボタンの位置を示した図
図 ホームボタンのない機種の外観
 ■サイドボタン

 本体右側面にあるのが、サイドボタンで、スリープボタンとも呼ばれています。ロックをする場合このボタンを押します。電源を切る時は、このボタンを長押しします。

 ■ボリュームボタン

 本体左側面に2つ並んでいるのが、ボリュームボタンです。上ボタンを押すと音量があがり、下ボタンを押すと音量が下がります。ボイスオーバーの音声が出ている時にボリュームボタンを押して、ボイスオーバーの音量調整をします。

 ■サイレントスイッチ

 ボリュームボタンの上に、サイレントスイッチがあります。このスイッチを背面側にスライドさせるとマナーモードになります。スライドさせる時は指の爪を使用します。マナーモードにおいても、VoiceOverの音声は聞こえますので、VoiceOverをオフにするなどの注意が必要です。

 ■その他

・本体下側面の窪みの中央に、Lightningコネクターがあります。イヤホンはこのコネクターに差します。マイクとスピーカーは、コネクターの左右にあります。

・本体画面の最上中央に、横に長い切れ込みは、電話のスピーカーです。

・そのすぐ左に前面側カメラがあります。このカメラは、ビデオ通話やZoom会議で自分の顔を写すために使用します。また、ホームボタンのない機種では、顔認証用としても使われます。

・本体の裏面の左上に丸いでっぱりが背面カメラです。背面カメラは、写真や動画の撮影、QRコードの読み取り、活字文字読み上げアプリなどで使われます。

(2)本体の持ち方

 スマホの画面に指が触れると、アプリを実行したり、カーソルが移動してしまうので、スマホを持つ場合は、スマホ本体の左右の枠、側面を持ちます。または、初めて操作をする場合は、机の上に置いて操作するのもよいでしょう。

 ホームボタンのある機種では、スマホの枠は上端・下端から約1.5cm、左端・右端から約5mm程度です。

 ホームボタンのない機種では、本体の枠の幅は、非常に狭く、上下、左右とも約5mm程度です。

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1-2 Siriを使ってみる

 Siriは、話しかけるだけでさまざまな情報を検索したり、アラームの設定など、iPhoneの操作をしたりできる音声アシスタントです。

 視覚障がい者が利用するVoiceOver(音声機能)をオンにしても、オフにしても同じようにSiriを使用できます。バッテリーの残量やWi-Fiの状況、カレンダーの行事予定の入力など、VoiceOverのジェスチャーでは難しい操作も音声で話しかけることで簡単にできることもSiriの特徴の一つです。 

(1)Siriの呼び出し方法

 Siriの呼び出し方法は2つあります。

 ■ホームボタンの長押し

 ホームボタンを長押しし、「プルッ」と震えたら、”○○して”とリクエストのフレーズを喋ります。なお、ホームボタンのないiPhoneは右側のサイドボタンを長押しします。喋り終わったら指を離します。

 ホームボタンまたはサイドボタンの長押しで反応がない場合は、設定アプリでボタンの使用をオンにする必要があります。設定はサポーターさんに操作してもらいましよう。

 補足)Siriの設定(サポーター)
  • -「設定」アプリ > 「アクセシビリティ」>「ホームボタン」
  •  ホームボタンのない機種では、「ホームボタン」の代わりに「サイドボタン」です。
  • – 「ホームボタン」画面、または、「サイドボタン」画面において右スワイプで「長押しして話す」まで進みます。
  • – さらに、右スワイプで進み、「Siri」が選択中になっているか確認をします。
 ■Hey Siriと発話する

 2つ目の方法は、まず、「Hey、Siri」と呼びかけます。「はい」と応答があったら、”○○して”とリクエストを発話します。また、“Hey Siri、○○して”とHey Siriとリクエストを続けて言うこともできます。

 この方法は、自分の声にだけ反応するように声を聞き取る設定が必要ですが、ハンズフリーで使えるので便利です。

 「hey Siri」の設定方法は、次の補足で説明しますが、時間があるときにサポーターと一緒にやってみましょう。

 補足)「Hey Siri」の設定方法

 「設定」>「Siriと検索」>「Hey Siriを聞き取る」ボタンがオンになっていることを確認します。オフの場合、ダブルタップをしてオンにします。

 次に5つの言葉を発話し、自分の音声を登録します。なお、iOS18では、自分の音声を登録する必要はありません。

  • -「続ける」ボタンをダブルタップします。
  • -“Hey Siri”と呼びかけます。
  •  うまく認識できれば、自動的に次に進みます。
  • -“Hey Siri メッセージを送信” “Hey Siri 今日の天気は?” “Hey Siri タイマーを3分にセットして”“Hey Siri 自宅までの道順を教えて” “Hey Siri 音楽をかけて” と呼びかけます。
  • -「Siriの準備ができました」との応答の後、「完了」ボタンをダブルタップして、設定が完了します。

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(2)さまざまな場面でのSiriの利用

次の例題でリクエストの仕方を練習しましょう。

Siriにレストランの検索をリクエストした結果の画面です。Siriが呼び出された時の丸いSiriのシンボルが画面下部に表示されています。 5つの結果が画面中央部に表示されています。
図 Siriにレストランの検索を依頼した結果の画面
■一般的な情報を知る

例題1

“今日の天気を教えて”

例題2

“姫路城の開館時間を教えて”

例題3

“今日は何日?””今の時刻を教えて”

例題4

“近くのコンビニを教えて”

この場合、複数の回答が提示され、複数の候補を順に説明しくれますが、1つの候補の説明の後、「こちらはどうでしょうか」との質問と振動があります。これに対して「はい」「いいえ」で答えていきます。

例題5

“マクロン大統領の任期を教えて“

「Webでこちらが見つかりましたので、ご確認ください」との回答があった場合は、左スワイプで最初の項目まで戻り、右スワイプで読んでいきます。詳細を読みたいときは、ダブルタップします。なお、VoiceOverで読めない場合もあります。

 ■iPhoneの操作に関すること

例題11

“天気アプリを起動して”

例題12

 “VoiceOverの設定を開いて”

例題13

 “タイマーを30秒にセットして”

アラーム音を止めるには、ホームボタンを押す、または、ホームボタンのないiPhoneでは、「画面下端から短い上スライド」をします(ポコ)。

例題14

 “バッテリーの残量は?”

例題15

 “Siriの音量を下げて”

例題16

 “音量を上げて”

例題17

 “iOSのバージョンを教えて”

例題18

  “iPhoneを再起動して”

例題19

   “Hey Siri iPhoneを探して”

例題20

   “QRを読んで””コードスキャナー”  QRコードを読む画面になります。

 ■VoiceOverの操作に関すること

例題21

 “VoiceOverをオンにして”“VoiceOverをオフにして” 

例題22

 “VoiceOverの音量を上げて”、“現在のVoiceOverの音量は”

補足)VoiceOverの音声がでない場合

SiriでVoiceOverをオフにして、再度オンにすると、改善することがあります。改善しない場合は、さらにSiriで再起動すると改善することがあります。

 ■アプリの操作に関すること

電話、メール、ショートメッセージ、カレンダーアプリの操作では、Siriを積極的に利用します。Siriにリクエストする時、Siriの質問に対して、ユーザーが回答するというように、対話形式で行うのがコツです。

①Siriで電話をかける

 電話のかけ方は、「1-4電話をかける」をご覧ください。

②Siriでメールの送受信
 メールの送受信は、「2-2 Siriを使ってメールの送受信」をご覧ください。
③メッセージの送受信

 メッセージを送信してみましょう。

  • ユーザー:「メッセージを送信して」
  • Siri:「どなたにですか?」
  • ユーザー:「田中一郎さん」
  • Siri:「一郎さんにどんなメッセージをおくりますか?」
  • ユーザー:「先日はありがとう」
  • Siri:「メッセージの内容は次の通りです。『先日はありがとう』」、送信しますか?
  • ユーザー:「はい」
  • Siri:「完了しました」
  • ※ここで、「いいえ」と答えると、
  • Siri:「送信しないでおきます」

なお、詳細は、「2-1 Siriを使ってメッセージの送受信」をご覧ください。

練習)連絡先に登録している人に、メッセージを送信しましょう。最後「送信しますか」の質問には、「いいえ」と応えましょう。

④カレンダーへ予定の登録

 カレンダーアプリでは、予定の名前、日時などの入力にSiriを利用します。また、登録した予定を確認するのもSiriを利用します。

 カレンダーアプリに予定を登録します。

  •  ・ユーザー:“カレンダーに予定を登録して”とリクエストします。
  •  ・Siri:「予定の名前は何にしますか?」と聞いてきます。
  •  ・ユーザー:“誕生会”と応えます。
  •  ・Siri:「日時はいつにしますか?」
  •  ・ユーザー:“来週土曜日、18時から20時”と応えます。

 次に予定を確認します。

  •  ・ユーザー:“来週の予定を教えて”

・Siri:「来週には○件の予定があります」と応え、次いで1件ずつ予定の内容を読み上げてくれます。

練習)上記の予定を登録してみましょう。
補足)カレンダーアプリを実用的に活用する場合

カレンダーアプリを実用的に活用する場合は、カレンダーアプリの使い方テキストも必ずご覧ください。VoiceOverのジェスチャーによる確認や修正も学習してください。

 ・VoiceOverテキスト「7-6 カレンダーアプリを上手に使う」

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1-3 VoiceOverを使う前に

VoiceOverは、iPhoneの画面上に表示される文字列を音声で読み上げます。その音声読み上げに対してユーザーは、ジェスチャーという指の動作で指示を出します。

画面上を指で触れても、そこにある項目を読み上げるだけで、実行はされません。実行するには、1本指で素早く2回タップします。このようなシステムですから、画面が見えなくてもiPhoneを操作することができます。

ジェスチャーは、1本から4本の指を使い、タップ、ダブルタップ、左右のスワイプ、上下のスワイプと種類も多くあり、練習が必要です。また、VoiceOverがオンになると通常とは大きく異なる操作モードになるので、晴眼者も学習しないと簡単には使えません。

(1)VoiceOverのオン・オフ

VoiceOverは基本的にオンの状態で使用しますが、トラブルがあった場合にオンとオフの切り替えが必要になることもあります。Siriを使う方法と、ホームボタンまたはサイドボタンを押す方法があります。

■SiriでVoiceOverをオンにする方法
  •  ・Siriに「VoiceOver、オン」とリクエストします。
  •  ・「はい、VoiceOverがオンになりました」と応答があります。
  •   ロックをしても、電源を切っても、この設定はずっと有効です。

晴眼者に操作をしてもらう場合は、VoiceOverをオフにしたほうが良いので、「VoiceOver、オフ」とリクエストしてください。

■ホームボタン、または、サイドボタンを押す方法
  • ・このボイスオーバーのオン・オフは、ホームボタンを素早く、3回押すことでも切替できます。
  • ・ホームボタンがないiPhoneの場合は、サイドボタンを、素早く3回押します。

この方法は、補足1)に示す方法でショートカットの設定が必要です。

ホームボタンの3回押しはコツが必要です。親指をホームボタンから離さずに素早く3回押します。どうしても3回押しができない場合は、クリック間隔の調整をするとやりやすくなることがあります。サポーターさんに調整してもらいましょう。

練習)「ホームボタン」または「サイドボタン」の3回押しで、VoiceOverのオンオフができるようになりましたか。
設定アプリのアクセシビリティ画面のスクリーンショットです。 画面下部に「ショートカット」ボタンが表示されています。
図 設定アプリのアクセシビリティ画面
補足1)ショートカットの設定(サポーター)
  • ・「設定アプリ」>「アクセシビリティ」>「ショートカット」まで進みます。
  • ・「ショートカット」ボタンをダブルタップします。
  • ・VoiceOverをダブルタップして、選択中にします。
補足2)ホームボタンのクリック間隔調整(サポーター)
  • ・「設定アプリ」>「アクセシビリティ」>「サイドボタンまたはホームボタン」ボタンまで進み、ダブルタップします。
  • ・「クリックの間隔」と読み上げた後、「遅く」をダブルタップして選択中にします。

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(2)VoiceOverを快適に使うために(その1)

 ■VoiceOverの音量と読み上げ速度の設定

 Siriを使って、聞きやすい音量に調整します。

 ユーザー:「VoiceOverの音量を上げて、または、下げて」

 VoiceOverの読み上げ速度は、次のように調整しますが、サポーターさんに手伝ってもらってください。

  • ・ユーザー:「VoiceOverの設定を開いて」とSiriにリクエストします。
  • ・右スワイプで「読み上げ速度調整可能」と読み上げるまで進みます。
  • ・そこで、上スワイプ、下スワイプで聞きやすい速度に調整します。

 VoiceOverのさまざまな設定をこの「設定アプリのVoiceOver画面」で行います。本テキストでは何度も出てきます。

 ■自動ロック時間の設定

 iPhoneは、操作していない時間が続くと、バッテリーの消耗を押さえるため、自動的にロックがかかります。

 講習中、説明を聞いている間にロックがかかるので、ロックがかかるまでの時間を長くしておきましょう。

補足)自動ロック時間の設定方法(サポーター)
  • ・Siriで「設定」アプリを起動します。
  • ・右スワイプを10数回行い、「画面表示と明るさ」ボタンまで移動します。
  • ・ダブルタップして、画面表示と明るさ画面を開きます。
  • ・右スワイプで、「自動ロック」ボタンまで進み、ダブルタップします。
  • ・次に、「5分」まで進み、ダブルタップをして選択中にします。
  • ・講習終了時には、「2分または3分」に戻しておきましょう。

「画面表示と明るさ」の設定では、テキストサイズを大きくしたり、文字を太くしたりできます。ロービジョンの方にはより見易い環境に調整できます。

 ■画面の向きのロック

スマホは基本的に縦に持って操作しますが、本体を横にすると、自動的に画面が横長に切り替わります。横長になったことを知らずに右スワイプをしても、iPhoneには上スワイプと認識されます。そこで、VoiceOver使用時には、画面の向きがiPhoneの傾きによって変わらないように設定しておきます。

補足)画面の向きのロック(サポーター)

この操作はサポーターさんに操作を依頼してください。

  • ・ステータスバーのバッテリーの項目をタップします。
  • ・3本指で上スワイプします。コントロールセンターが表示されます。
  • ・「画面の向きをロック切り替えボタン」をダブルタップしてオンにします。
  • ・スマホを90度傾けても、画面の向きが変わらないことを確認してください。
設定アプリの「画面表示と明るさ」画面のスクリーンショットです。 「テキストサイズを変更」「文字を太くする」「自動ロック」などの項目に赤い楕円のマークが付されています。
図 「画面表示と明るさ」画面のスクリーンショット
コントロールセンターのスクリーンショットです。いくつものグラフィックボタンが表示されています。「画面の向きのロック」切り替えボタンに丸印が示されています。
図 コントロールセンターのスクリーンショット

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1-4 基本ジェスチャーを練習する

(1)ロック解除

ロックは一定時間操作しないと、自動でロックがかかります。また、操作が終わり、すぐに使用しない場合、手動でロックをかけます。

  • ・右サイドボタンを押すと、真っ黒なロック画面になります。
  •  ロックを解除するには、2回の操作が必要です。
  • ・サイドボタンまたはホームボタンを押すと、ロック解除画面になります。
  •  ロック解除画面には、時間や通知が表示されており、それらを読み上げます。
  • ・ホームボタンがあるiPhoneでは、ロック解除画面でホームボタンを押すことで、ロックが解除され、ホーム画面が表示されます。
  • ・ホームボタンがないiPhoneでは、「画面下端から短い上スライド」を行います。
  • ・ロックが解除されると、ホーム画面が表示され、最初に配置されたアプリの名称が読み上げられます。
練習)ホームボタンがない機種:端画面下端から短い上スライドの練習

画面下端に人差し指を置き、画面の下から3分の1程度まで上にスライドさせます。そのとき、「ポッ」「コッ」という2つのサウンドがなります。iOSでは、サウンドは鳴りませんが、振動があります。左手で本体を持って確認しましょう。

スライドの速度や画面から離すタイミングなど練習が必要です。VoiceOverがオフの時の操作と似ていますが、同じようにピンと指を跳ねてはうまく行きません。最初のアプリが読み上げられましたか。

練習)ホームボタンのある機種:ロック解除の練習

 うまくできましたか。

補足)顔認証・指紋認証の利用

入門者のiPhoneの状態は、セキュリティがかかっていない場合が多いです。その場合、誰でもiPhoneを使用することができます。そこで、FaceID、TouchID(顔認証、指紋認証)を利用すると、セキュリティを強化しても、使い易さはそれまでと変わりません。

ただ、時々、パスコードという6桁または4桁の数字の入力を要求されることがあり、パスコードが容易に入力できないといけません。パスコードのスムーズな入力と顔認証や指紋認証の登録を当面の目標としてはいかがでしょうか。

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(2)ホーム画面とホームボタン(または画面下端から短い上スライド)

ホーム画面のスクリーンショットです。 画面中央には、20余のアプリが画面一杯に配置されています。画面下部には、4つのアプリが配置されたドックが表示されています。
図 ホーム画面のスクリーンショット
■ホーム画面のアプリ

ボイスオーバーの練習をする前に、基本になるホーム画面の説明をします。スマホの中にはたくさんのアプリが入っており、アプリを起動することで様々なことができます。

アプリはホーム画面に、横4列、縦6行まで配置できます。多くのアプリをインストールするとホーム画面のページ数も増えます。また、類似のアプリをまとめてフォルダーに配置すれば、画面もスッキリし、見つけ易くなります。

ホームボタンの少し上に「ドック」と呼ばれる部分があります。ホームボタンのないiPhoneでは、画面下端の中央の少し上に「ドック」があります。このドックは、どのページでも、同じ位置に表示されますので、電話アプリやメールアプリなどよく使用するアプリを「ドック」に配置します。

練習)ホーム画面の確認

ホームボタンを押すか、ホームボタンがない機種では「画面下端から短い上スライド」して、ホーム画面を開きます。どのようなアプリが配置されているか、指でなぞって確認してみてください。また、「ドック」もみつかりましたか。

 ■ホームボタンまたは画面下端から短い上スライド

ホームボタンを押すと、ホームボタンのないiPhoneでは「画面下端から短い上スライド」をすると、必ずホーム画面の1ページ目に戻ります。

3本指で左スワイプすると、「何ページ中の2ページ」と読み上げがあります。何度か3本指で左スワイプすると、「アプリライブラリ」というページになります。このページには、インストールを行ったすべてのアプリが登録されています。ホーム画面に表示されないアプリも、このページには表示されます。すべてのアプリを50音順に並べることもできます。

アプリを中止する場合、操作が不能になった場合、どこにいるかわからなくなった場合、ホームボタンを何回か押す、または、「画面下端から短い上スライド」を何回か実行すると、ホーム画面の最初のアプリに必ず戻ることができます。

練習)ホームボタン機能の練習

ホーム画面にて3本指で左スワイプを数回して、「アプリライブラリー」のページまで進みます。ホームボタンを押す、または、画面下端から短い上スライドをして、戻ってみましょう。

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(3)基本ジェスチャー

ジェスチャーの種類は多くありますが、ここでは、最もよく使う基本ジェスチャーの操作の練習を行います。

  • ・1本指右スワイプ:1項目ずつ順番に、左から右へ、上から下へ移動します。
  •   画面を右に払うように指を動かします。画面のどこで動かしても構いません。
  • ・1本指左スワイプ:1項目ずつ順番に、右から左へ、下から上へ移動します。
  • ・1本指ダブルタップ:項目を実行したり、決定します。
  •  素早く、2回タップします。画面のどこで行ってもよいです。
  •  サポーターさんに机でダブルタップをしてもらい、タップの音を聞いて、練習しましょう。
  • ・2本指上スワイプ:最初の項目から最後まで読み上げます。
  • ・2本指下スワイプ:現在の位置から最後まで読み上げます。
  • ・2本指タップ:読み上げを停止、開始します。
  • ・2本指ダブルタップ:電話を取ったり、切ったり、音声入力を開始、終了します。
  • ・3本指右左スワイプ:ページが複数ある場合、ページを移動します。
■ダイレクト法(なぞり法)

ジェスチャーで項目を移動するほかに、画面に指を置き、画面上をなぞっていき、目的の項目を見つけるダイレク操作(なぞり法)もあります。目的の項目の位置がわかっている場合は、この方法が早く見つけることができます。

アドバイス)スワイプとダブルタップについて
  • ・スワイプは、素早く指を払うように(跳ねるように)行います。ゆっくりと画面上をスライドさせると「タップ」として認識され、思わない項目に移動してしまします。また、左右スワイプの場合、方向が斜めにならないよう気をつけましょう。サポーターさんに指を持ってもらって練習するのもよいでしょう。
  • ・ダブルタップは、軽く素早くするのがコツです。緊張して力を入れて行うと、どうしても画面上でスライドしまします。どうしてもダブルタップをうまくできない方には、ダブルタップの時間の調整することができますので、次の補足をご覧ください。
設定アプリのVoiceOverの画面が表示されています。ダブルタップのタイムアプトの項目に赤い楕円が付されています。
図 ダブルタップの間隔時間の調整
補足)ダブルタップの間隔時間の設定方法(サポーター)
  • ・Siriに「VoiceOverの設定を開いて」とリクエストします。
  • ・右スワイプで最後の項目の「ダブルタップのタイムアウト」ボタンまで進み、ダブルタップします。
  • ・右右スワイプで「増やす」ボタンまで進み、ダブルタップして、時間を調整します。

同時に次の設定をすると、ロービジョンの方に見易くなります。

  • ・「大きいカーソルを使用」切り替えボタンをダブルタップしてオンにします。
練習)基本ジェスチャーの練習

・1本指左右スワイプ

  • – ホーム画面で練習しましょう。サポーターさんに確認してもらいましょう。
  • – 設定アプリを起動して、練習してみましょう。

 右スワイプして、「アクセシビリティ」と読み上げられる所を見つけてください。うまく見つかりましたか。17回ほどで見つけられます。

・1本指タブルタップ

  • – ホーム画面で右スワイプをして「天気」まで移動し、ダブルタップします。「現在地、姫路・・」と読み上げると成功です。
  • – 今度は、「計算機」まで移動して、ダブルタップします。「計算機・・」と読み上げると成功です。

・2本指上下スワイプとタップ

  • – 設定アプリを開いて、2本指上スワイプをします。そして、2本指タップで読み上げを停止します。再度、2本指タップして読み上げを開始します。
  • – 2本指タップで読み上げを止めた後、2本指下スワイプで自動読み上げを開始します。

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1-5 電話をかける

(1)電話の受け方と切り方

電話がかかってきた時、2本指でダブルタップして電話を取ります。スマホを縦にもって上部を耳に当てて話を始めます。

耳からスマホを離し、机に置くと、自動的にスピーカーフォンになります。同時に画面がキーパッド画面に変わり、自動応答電話への数字の入力などには、大変便利です。

電話が終わったら、受けた時と同じく、2本指でダブルタップします。この時、切れた時の「ポコ」という音を確認することが大切です。 

練習)電話を受ける、スピーカーフォンにする

だれかに電話をしてもらい、2本指ダブルタップで電話を受けましょう。また、耳から本体を離し、スピーカーフォンになっていることを確認しよう。

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(2)電話のかけ方

電話をかけるには、次の4つの方法があります。

  • ・Siriを使って、連絡先に登録した相手に電話をかける方法
  • ・「電話アプリ」の履歴からかける方法
  • ・「電話アプリ」の連絡先を開いて相手を探してかける方法
  • ・「電話アプリ」のキーパッドで番号を入力して電話をかける方法

ユーザーの多くは、操作が簡単なSiriを使う方法を利用しています。また、間違った相手に電話がかかり、相手が電話にでるまでに切りたい場合は、できるだけ早く、2本指ダブルタップをします。

 ①Siriを使って電話をかける

例えば、栗川さんに電話をする場合、Siriを起動して“栗川さんに電話して”とリクエストすると、「栗川さんに電話します」とのSiriの応答があり、呼び出し音が鳴ります。

「栗川」という名前が複数登録されている場合は、「栗川一郎さんに電話して」とリクエストします。

連絡先には、姓と名が別々の欄に登録されますが、姓と名が姓の欄に一緒に入っている場合や◯◯会△△さんと登録されている場合は、登録されているとおり一字一句違わずに、Siriにリクエストすることが要求されます。このような理由でガラケイから連絡先データーをコピーしてもらった場合は、何人かの登録者にSiriで電話がかからないことがあります。  

電話番号をメモや点字にひかえている場合は、Siriに、「090-123-4567に電話して」とリクエスしても、電話をかけることができます。

連絡先の相手に2つの電話を登録している場合、Siriは「どちらの電話にかかけますか」と質問してきますが、090の電話が「携帯電話」と限りませんので、注意が必要です。詳細は、入門講座テキスト「5-3 連絡先の使い方」をご覧ください。

練習)Siriで知り合いに電話をかけてみましょう。
 ②「電話アプリ」の履歴からかける方法
電話アプリの履歴画面のスクリーンショットの写真です。画面下部には、5つのタブが入りされたタブバーが表示されています。
図 電話アプリの履歴画面

電話アプリを起動します。

電話アプリの画面の最下段には、タブバーがあり、5つのタブ(ボタンのようなもの)が配置されています。左から順に「よく使う項目」「履歴」「連絡先」「キーパッド」「留守番電話」タブが並んでいます。

ホームボタンのあるiPhoneでは、ホームボタンに人差し指を置き、ゆっくりと上にスライドさせる(ダイレクト操作またはなぞり操作)と、「タブバー 連絡先タブ」との読み上げがあります。

ホームボタンがないタイプは、iPhone本体下部の枠の中央から、人差し指をゆっくりと上にスライドさせます。

タブバーの5つのタブは、右、左スワイプで移動することができます。履歴タブをダブルタップします。これまでに、かけたり、受けたりした履歴が、上から順に最新のものから並んで表示されています。

2本指上スワイプした後、2本指でタップして、読み上げを停止します。一本指右、左スワイプで履歴の項目を移動します。電話番号だけを読み上げる項目と名前を読み上げる項目がありますが、名前を読み上げる場合は、連絡先に電話番号と名前が登録されています。

この履歴画面で電話をかける相手を右、左スワイプで選び、ダブルタップをすることで電話がかかります。

練習)知り合いの名前を探してみましょう。
補足1)タブとは?

複数の表示を切り替えて、同じ一つの画面に表示させる方法をタブと言い、タブをダブルタップすることで画面を切り替えます。例えば、履歴タブをダブルタップすると、履歴画面が表示されます。

補足2)タブの特性

タブをダブルタップしても、「選択中の履歴」と読み上げるだけ、履歴画面の情報を読んでくれません。例えば、2本指上スワイプをして、履歴画面の最初の項目から読み上げさせます。これは、他のアプリのタブにも共通する特性です。

③「電話アプリ」の連絡先からかける方法

  この方法は、入門講座テキスト「5-3連絡先の使い方」をご覧ください。

④キーパッドで電話をかける方法

 この方法は、入門講座テキスト「2-3文字入力」をご覧ください。

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